【2026年度】広島県公立高校入試(数学分析)

【数学】詳細分析

数学の概要分析

令和8年度の数学は、満点50点に対し平均点が20.7点、標準偏差は11.6となりました。得点分布には非常に大きな特徴が現れています。

📊 得点分布グラフ(数学)
合計 平均点 (20.7点)
数 学 5 10 15 20 25 0 30 (%) 0 1〜5 6〜10 11〜15 16〜20 21〜25 26〜30 31〜35 36〜40 41〜45 46〜50 (点) 平均点 20.7点
※グラフの赤い破線は平均点(20.7点)の位置
※「令和8年度 広島県公立高等学校入学者選抜 一般学力検査の結果」より

大問・小問・正答率詳細一覧

太字の箇所は、記述形式や正答率・無答率が顕著に動いた注目ポイントです。

大問 小問 分野・領域 形式 出題のねらいと概要 正答% 部分% 無答% 配点
1 (1) 数と式(正負の数) 計算 基本的な計算ができるかを確認する問題 87.8 0.0 0.2 2
(2) 数と式(文字式) 式の展開・整理 82.4 0.0 1.0 2
(3) 数と式(方程式) 二次方程式を解く問題 68.5 4.5 5.6 2
(4) 数と式(平方根) 平方根・式の処理 63.6 2.8 6.4 2
(5) 関数 計算・判断 変化の割合を求める 42.3 0.0 6.3 2
(6) 図形 選択 図形の性質 67.3 0.0 0.7 2
(7) 図形(図形の移動) 回転・対称移動の理解 46.4 0.0 0.4 2
(8) データの活用(標本調査) 標本調査の基本 80.0 0.0 0.4 2
2 (1) 図形(空間図形) 計算 立体の体積を求める 34.8 0.0 7.8 3
(2) データの活用(確率) 計算・思考 条件整理・場合分け 8.1 0.0 27.9 3
3 (1) 数と式(文字式) 選択 正しい考え方を選ぶ 34.2 2.6 1.4 3
(2) 記述・証明 偶数について文字式を用いて証明する 42.6 14.5 14.0 4
4 (1) データの活用(統計) 計算 割合を求める問題 61.7 0.0 7.0 3
(2) データの活用(箱ひげ図) 説明問題 箱ひげ図から読み取れることを根拠を示して説明する 15.4 15.6 15.3 4
5 (1) 関数と図形 計算・思考 条件から値を求める 31.0 0.0 13.3 3
(2) 記述 条件を整理し式を導く 5.5 0.0 25.7 3
(3) 条件を利用して値を求める 7.1 0.0 34.1 3
6 図形(証明) 図形証明 合同条件を用いて証明する 21.6 35.5 19.0 5

本入試の特長

  • 大問1(計16点)の出来栄えが
    全体の土台になる構造
    大問1の「計算・基本小問」は1問2点×8問の計16点分あります。
    全体の平均正答率は75.6%と高いですが、中身を見ると(1)(2)(8)のように80%を超える基本問題がある一方で、(5)の変化の割合(42.3%)や(7)の図形移動(46.4%)のように、正答率が50%を割り込む基本問題も混ざっています。
    大問1は16点を占めるため、ここでの取りこぼしは全体の得点に大きく影響したと考えられます。
  • データの活用・確率領域での高い処理能力の要求
    大問2(2)の確率(正答率8.1%、3点)や、大問4(2)の箱ひげ図を用いた説明問題(正答率15.4%、4点)など、統計や確率に関する問題で苦戦した受験生が多かったようです。単に公式を覚えるだけでなく、問題文の条件やグラフから必要な情報を正確に処理する力が求められたと考えられます。
  • 図形と関数の融合問題における高い無答率
    後半の大問5(2)(3)では無答率がそれぞれ25.7%、34.1%に達しています。特に(3)は無答率が34.1%と最も高く、3人に1人以上が解答していません。正答率5.5%、7.1%、無答率25.7%、34.1%という結果から、多くの受験生が得点に結び付けることができなかった問題だったことが分かります。

「合否を分ける得点戦略」

広島県の数学入試では、大問1などの基本問題(計16点)でケアレスミスによる失点をしないこと、そして記述問題において「部分点」を確実に積み上げることが大切です。

まず、大問1の(1)〜(4)のような計算問題や、(6)の関数グラフ、(8)の標本調査は、確実に点数にしたい領域です。こうした基本問題でのちょっとしたミスは大きな痛手になります。さらに、大問1の中にある(5)変化の割合や(7)図形移動といった、正答率が40%台に落ちる「少し差がつく基本問題」をきっちり正解できたかどうかが、大きな鍵になります。

また数学では、大問3(2)の文字式証明(4点)や大問4(2)の理由説明(4点)、大問6の合同証明(5点)は当然のことですが、「内容を正しく捉えていれば、表現は異なっていてもよい」とされています。
大問6の合同証明は部分正答率35.5%であり、途中までの記述が得点につながった受験生も一定数いたことが分かります。最終的な解答までたどり着けなくても、途中の考え方や数式が合っていれば部分点が得られます。
難しそうに見える問題でも白紙(未答)にはせず、自分が分かっている条件や式を解答欄に書き残すことが大切です。

  • 点数を確実に取る生徒: 確実に解ける問題をノーミスでクリアし、少しひねられた基本問題で競り勝ち、記述問題で部分点を1点でも多くもぎ取るような立ち回りができています。

差がつく重要問題の深掘り
① 大問2 (2) 【確率×立体図形・関数の融合応用】(3点)

【分析(受験生が苦戦した点)】
単に「サイコロを2回投げるから36通り」という基本パターンだけでは解けない問題でした。単に36通りを書き出すだけではなく、条件を整理しながら場合を絞り込む力が求められる問題でした。

今後の学習で意識したいこと
  • 「条件の可視化」を習慣にする
    問題文を読んだ瞬間、サイコロの問題であれば必ず「6×6の格子状の表」を余白に大きく書き、状況を整理する癖をつけましょう。
    パターンとして覚えるのではなく、具体的に数える習慣を付けましょう。
  • 他単元との融合問題を解く
    確率単独の問題だけでなく、「図形が満たす条件(面積や長さが〇〇になる確率)」を考えさせる融合問題に秋以降から挑戦していきましょう。「図形の条件を数式・不等式に変える」→「その数式を満たすサイコロの目を表の中で◯×で判定する」という、2ステップの処理手順を意識して解く練習が有効です。
② 大問4 (2) 【箱ひげ図を用いた記述問題】(4点)

【分析(受験生が苦戦した点)】
「データの活用」の用語(中央値、四分位数など)の意味は分かっていても、いざ理由を説明する文を書くとなると、根拠となる四分位数や中央値を適切に用いて説明することが求められる問題でした。

今後の学習で意識したいこと
  • 根拠を示して説明する記述型を覚える
    「〜の(用語・数値)が、〜よりも(大きい/小さい)から。」という文章の型をあらかじめ決めておき、そこにグラフから読み取った具体的な数字を当てはめる練習を繰り返しましょう。
  • 「なぜその答えになるか」を口頭で説明してみる
    普段の問題集を解くときから、ただ答えを合わせるだけでなく、「なぜその選択肢を選んだのか」「なぜそのグラフからそう言えるのか」を、言葉に出して説明する練習をしてみましょう。頭の中で言葉にできないものは文章として書けないため、日常的に話して伝える練習が記述対策になります。
③ 大問5 (2)・(3) 【図形の移動と関数(重なりの面積の変化)】(各3点)

【分析(受験生が苦戦した点)】
直角三角形と台形を用いた問題において、図形の変化を捉えながら、長さや面積を文字式で表す力が求められる問題でした。どこを文字で表せばよいかで整理が難しくなることがあり、結果として低い正答率や高い無答率につながったと考えられます。

今後の学習で意識したいこと
  • 「動いたあとの図」を余白に自分で書く
    問題用紙にある最初の図だけを見て考えようとすると、頭の中だけで処理することになり整理が難しくなることがあります。「x cm動いたとき」の状況を、少し大げさに余白に自分で描き直し、どこがどう変化しているかを視覚的に確認しましょう。
  • 「変化の節目」を意識して、長さを x で表す練習を積む
    図形の形が変化する節目に注目し、

    「動いた距離 x = 底辺の長さ」や
    「残りの長さ =(全体の長さ)- x 」といった、基本となるパーツの長さを x で表すトレーニングを徹底しましょう。これができれば、あとは通常の面積の公式(底辺×高さ÷2など)に当てはめるだけで、関数( yx の式で表す)を導き出すことができます。